体の中の”見えない仕組み”を読み解く「蔵象学説」
2021.11.17
中医学では、人間の体をただの「筋肉や骨の集まり」ではなく、自然界の大きなルールと同じように動いている一つの「小宇宙」として捉えます。その中で、人間の体の中がどうなっていて、どう働いているのかを説明する基本の理論が「蔵象学説(ぞうしょうがくせつ)」です。なんだか難しそうな?大袈裟?な名前ですが、私たちの体を理解するのにとっても役に立ちます。
- 「蔵象」という言葉の意味
蔵象という言葉は、大きく2つの要素に分けられます。「蔵(ぞう)」は体の内側に隠れておさめられている臓器(内臓)のことです。「象(しょう)」は外側に「現れてくる」兆候や、目に見える姿かたちのこと。なので、蔵象学説とは「体の内側にある臓器の状態を、外側に現れるサイン(顔色、声、動き、感情など)を通して推測する」という考え方のことなんです。 - 西洋医学の臓器とはちょっと違う?
私たちが普段よく耳にする西洋医学の臓器(心臓や肺など)は、主に「解剖学的なカタチ」や「それぞれの物理的な働き」に注目します。一方、中医学の臓器(五臓六腑)は「体の中でどんなエネルギーを動かし、どんな感情や季節と結びついているか」という仕組み全体を指しています。たとえば「心」であれば、血液を流すポンプ機能であると同時に、私たちのメンタルや意識をコントロールする司令塔としての役割を持っているように、西洋医学より幅広い役割を担っていると考えます。 - 外側のサインから、内側の健康を守る
蔵象学説のすごいところは、「外側に出ている小さなサインから、内臓の不調にいち早く気づくことができる」という点にあります。顔色がなんだかパッとしない・声に元気がない・イライラしやすい…こうした日常の些細な変化は、すべて体の中の臓からのメッセージです。中医学では、こうした外側の現れ(象)を丁寧に観察することで、薬に頼りすぎる前に生活習慣を整えたり、病気を未然に防いだりするための知恵として活かしてきました。
日頃から自分の顔色や心の変化にちょっとだけ耳を傾けてあげることが、健康づくりの第一歩かもしれません。
成城漢方たまり・谷澤瑛美