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五臓の「脾」のおはなし

2022.4.20

食欲がわかない、食べるとお腹が張る、なんだか体が重くて疲れやすい。考えごとが多いと、胃のあたりがすっきりしない。そんな不調と深く関わっているのが、中医学でいう「脾(ひ)」です。

脾はお腹の真ん中あたり、胃のすぐそばにあります。中医学の脾は、食べたものを体の力に変える、消化の中心となる臓器です。

脾のおもな働きは3つあります。
1つめは「運化(うんか)」。食べたものを消化して栄養に変えて全身へ運びます。水分をめぐらせる役割もあります。このため、脾が弱いと体力を生み出しにくいので、疲れやすくなります。
2つめは「昇清(しょうせい)」。エネルギーを上の方に持ち上げます。また、内臓を正しい位置に支えるのも脾の力です。脾が弱るとめまいや下痢、胃下垂などが起こりやすくなります。
3つめは「統血(とうけつ)」。血液が血管の外にもれないように、あるべきところにとどめる力です。

脾の調子は筋肉や手足、口や唇にあらわれます。中医学では「脾は肉を主る」「其の華は唇に在り」と言います。脾が元気なら、筋肉はしっかりして手足に力が入り、唇は赤くつややか。反対に脾が弱ると、手足がだるく唇の色も白っぽくなります。ちなみに、ほどよく体を動かすことは、脾の働きを助けて食欲を高めてくれます。

感情では、脾は「思(し)」と結びついています。考えることは大切ですが、思い悩みすぎると気のめぐりがとどこおってしまいます。すると食欲がなくなったり、お腹が張ったりする原因になります。

季節では、脾は「長夏(ちょうか)」と結びついています。長夏は、中国で雨が多く湿気の強い夏の時期のこと。日本でいえば、じめじめした梅雨のころにあたります。脾は湿気が苦手なので、この時期は体が重だるくなったり、お腹をこわしたりしやすくなります。

脾は、毎日の元気をつくる工場のような臓器。考えすぎたときは少し体を動かして、脾をいたわってあげてくださいね。

成城漢方たまり・谷澤瑛美