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五臓の「肺」のおはなし

2022.6.20

空気が乾いてくると、のどがイガイガしたり、肌がカサカサしたり。そんな不調と深く関わっているのが、中医学でいう「肺」です。

中医学の肺は、ただ呼吸をするだけの臓器ではありません。肺は五臓六腑の中でいちばん高い場所にあり、ほかの臓器を上から傘のように覆っています。そのため、昔から「華蓋(かがい)」と呼ばれてきました。また、鼻を通して外の空気とじかにつながっているので、寒さや乾燥の影響を受けやすい、繊細な臓器でもあります。

肺のおもな働きは4つあります。
1つめは「宣発(せんぱつ)・粛降(しゅくこう)」です。宣発は、栄養やうるおいを頭や肌のすみずみまで広げる働き。粛降は、きれいな空気や水分を体の下のほうへ送る働きです。2つめは、呼吸をとおして体を動かすエネルギー(気)をつくり、全身にめぐらせること。3つめは心臓を助けて、血液を全身に送り出すこと。4つめは体の水の通り道を整えること。高いところから水分を下へ流すので、肺は「水の上源(じょうげん)」とも呼ばれます。

中医学で、肺は肌ともつながっています。肌は外からの寒さなどを防ぐ垣根のようなもの。肺が元気なら、肌にうるおいが届いて、外からの影響にも負けにくくなります。反対に肺が弱ると、かぜをひきやすい、汗をかきやすい、肌がかさつく、といったサインが出てきます。鼻づまりや声のかすれにも、肺の調子があらわれます。

気持ちの面では、肺は「悲(ひ)・憂(ゆう)」と関係が深いとされています。悲しみが長く続くと肺が疲れて、ため息が増えたり、元気が出なくなったりします。

季節では、肺は「秋」と結びついています。肺は「潤(じゅん)を喜び、燥(そう)を悪(にく)む」臓器。うるおいが好きで、乾燥が苦手なのです。だから秋の乾いた空気が続くと、空せき、のどのかゆみ、鼻の乾き、肌のひび割れが起こりやすくなります。

秋の不調は、肺からのサインかもしれません。部屋の乾燥に気をつけて、ゆっくり深呼吸しながら、肺をいたわってあげてくださいね。

成城漢方たまり・谷澤瑛美