水(津液)のお話
「肌がカサカサ乾燥する」「夕方になると足がパンパン」こうしたお悩みに関わっているのが、体内の水分です。中医学では「津液(しんえき)」といいます。私たちの体のおよそ6割は水分だと言われますが、中医学ではこの「体内の正常な水」を単なる水分としてではなく、生命を維持する大切なものとして捉えています。
津液とは体液、汗、涙、鼻水、唾液、そして関節や脳を潤す液体など、血液以外のあらゆる正常な水分の総称です。これらは性質によって大きく2つに分けられます。①「津(しん)」:サラサラして動きが速く、肌の表面や筋肉を潤すもの(汗や涙など)。②「液(えき)」:ドロドロして動きがゆっくりで、関節や内臓の深い部分を潤すもの(関節液や骨髄など)。
津液はただ体に蓄えられているわけではなく、全身を潤して栄養を与えたり、関節の動きをスムーズにしたり、血液の原料になったり、暑いときは汗として熱を逃がして、体内の陰陽バランスを一定に保つなど、様々な働きをしています。
例えば夏の暑さで汗をたくさんかいて津液を消耗すると喉が渇きます。肌の乾燥なども津液の不足によるところが大きいです。しかし水は多ければ多いほど良いというわけではありません。中医学では水の巡りが滞り、余分な水分が溜まった状態を「痰湿(たんしつ)」と呼びます。綺麗な栄養を含んだ水というよりも、老廃物のような汚れた不要な水のことです。体が重だるい、むくみやすい、いつも眠いといった不調が出やすくなります。近年増えている気象病(低気圧や台風の日に目眩、頭痛、食欲不振、体が重い、眠いなど)も水巡りの悪さが関係していることが多いですよ。
このように体内の水のバランスが整っている状態こそが、中医学の考える健康条件のひとつ。中医学の知恵はこのように目に見えない体の不調について、日々の心と体の変化に耳を傾けて、体を労わるために役に立ちます。
成城漢方たまり・谷澤瑛美